第55章

今日この瞬間まで、私はシリクという人間に会ったことがなかった。

私とルカの結婚式にさえ、シリクは姿を見せなかったのだ。

ルカという息子を疎んじている彼が、その妻である私に好感を抱くはずもない。

解せないのは、なぜシリクがわざわざサン・カルロから、遠く離れたこの新港市までやって来たのかということだ。

「父親を前にして、挨拶もなしか?」

シリクの声は氷のように冷たく、その陰湿な眼差しはルカを射抜いていた。

「母親からそう教わったのか?」

「母さんは年長者を敬い、礼儀正しくあれと教えたよ。だが、憎むべき相手には十二月の厳冬よりも残酷であれともね――それを教えたのはあんただ、父さん」

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