第61章

オックスは眼鏡をくいと押し上げた。

「あなた方が離れてから、ルカ様のご様子はずっと不安定でした。長年、精神安定剤を常用されていたのですが、いつからか独断で断薬してしまわれたようです」

オックスは小さなピルケースを私の前に差し出した。

「ルカ様に、決まった時間に薬を飲むよう勧めていただけませんか。彼が早く正気を取り戻すことは、あなたにとっても利益になるはずです」

私は数秒間、そのケースを凝視した。

「……ルカはどこ?」

「ルカ様は今、会社の外においでです」

アルフが溜息をついた。

「奥様のお二人の兄上が、いらっしゃいました」

私は弾かれたように彼を見た。

「兄さんたちに会わ...

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