第8章

ミラ視点

指先でウェディングドレスのレースの縁を、触れるか触れないかというほどそっと辿る。繊細で、複雑な作りの生地。美しすぎて、まるで本物ではないみたいだ。

メイクアップアーティストが一歩下がり、言った。「ソーヤーさん、今まで私が見てきた中で、一番お美しい花嫁ですよ」

「ありがとうございます」声が震えてしまった。

チャペルのステンドグラスから太陽の光が差し込み、控室を赤や青、金色の光で彩る。光が白いドレスに当たって、きらきらと輝いた。

六ヶ月。あの倉庫から、この場所へ。まるで他人の人生を生きているような気分だ。

鏡に映る自分を見つめる。見つめ返してくる青緑色の瞳が、喜び...

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