第8章

 孝平は床に膝をつき、指先にはあの血の盟約の指輪があった。彼は私の左手を掴もうと手を伸ばしてくる。

 私はそれを避けた。指輪は床に落ち、テーブルの脚元まで転がっていく。

 孝平の手が宙で凍りついた。彼は自分の掌を見つめ、また私を見上げた。その瞳から光が消え失せている。

「孝平」私は静かに問う。

「友梨奈のベッドにいる時、妻がいることは頭を過らなかったの?」

 宴会場は完全に静まり返った。

 孝平は口をパクパクさせるが、声にならない。

 周囲から低い囁き声が漏れ出す。

「彼、本当に浮気してたのか?」

 孝平の顔色は土気色だ。

「改めるよ」

「改められないこともあるわ」私は...

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