第288章 彼が死ぬのを見ていられない

【藤原春視点】

俺は這うようにして必死に森の方向へ進み、ゴロリと身を転がして、高さ四フィートにも満たない岩の陰に身を潜めた。時折、銃弾が目にもとまらぬ光の筋を描いて俺の横をかすめ飛んでいく。背中はすでに冷や汗でぐっしょりと濡れていた。顔は土埃にまみれ、地面を掻きむしった両手の爪がズキズキと痛む。

そんな極限状態の中、俺はふと気がついた。なんということだ、自分の手にはまだあの米ドルが詰まった革鞄がしっかりと握られているではないか。あまりの滑稽さに、思わず自嘲の笑みが漏れる。

俺は革鞄を傍らの地面に放り投げ、再び森へ向かって前進しようと身構えた。

銃撃戦の状況を把握しようと神経を研ぎ澄ま...

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