第297章 通行証が必要だ

藤原春 POV

ハルツーム教育病院からバーバラを連れて立ち去ろうとしたとき、痩せこけた長身の不審な人影を目にした。視界の端をかすめただけだったが、胸をざわつかせるその感覚はいつまでも消えなかった。あまりにもサラのシルエットに似ていたからだ。

そう、俺の妻であるサラだ。

あり得ない。どうしてサラが急にこんな場所に現れるというのか——理性がそう告げていた。あまりにも彼女を想うばかりに幻覚を見て、背丈の似た別人を見間違えただけかもしれない。

だが、あの雷に打たれたような衝撃が、どうしても頭から離れなかった。もしかしたらサラかもしれない。いや、おそらくサラだ。違う、絶対に彼女だ。俺にこんな感...

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