第60章

サラ POV

ダニエルが連れてきたのは、環境が美しいながらもテーブルが十個ほどしかない小さなレストランだった。各テーブルには柔らかな光を放つキャンドルスタンドが置かれていた。レストランの隅にある小さなステージでは、バイオリニストが高い椅子に座り、優美な音色を奏でていた。

この場所の雰囲気はデートにぴったりで、私は少し気恥ずかしさと同時に興奮も感じていた。

ダニエルは至って自然な表情で、ただ地元で一番美味しい料理を紹介したいだけのようだった。

ステーキが運ばれてきたとき、レストランの入口に立っているエミリの姿が目に入った。

エミリもほぼ同時に私を見つけ、素早く近づいてきて、好奇心に満...

ログインして続きを読む