第15話お前みたいな臆病者

イーサン視点

「いや、この子は産ませる」

俺は即座に答えた。その声は断固としており、議論の余地など残していなかった。

「堕ろすなんて、絶対にありえない」

ヘンリーは目を細め、再び言い放った。

「始末させろと言ったはずだ」

俺は父の顔を見据え、交渉の余地を探った。だが、そんなものはどこにもない。固く結ばれたその顎が全てを物語っていた。しかし、俺はライラと約束したのだ――どんな犠牲を払ってでも守り抜くと。

「俺の子供だぞ!」

平静を保とうとしていたにもかかわらず、荒げた声がほとばしる。

「親父が決めることじゃない! 俺はこの子を産ませる!」

張り詰めた沈黙が部屋を満たした。他の...

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