第17章:新しい仕事

ライラ視点

涙で視界が滲んで、彼の顔立ちははっきりと見えなかった。ただ分かったのは、小麦色の肌と、右耳で光るシンプルなシルバーのフープピアスだけ。

待って、彼は私の名前を知っている? 一体誰? 感情的になっていて、これが本当にタクシーかどうかも確認していなかった。嘘でしょ、私、見知らぬ男の車に飛び乗っちゃったの?

やるじゃない、ライラ。イーサン・パチェコを信じたと思ったら、今度は知らない人の車に乗り込むなんて。素晴らしい危機管理能力だこと。

パニックになるか、降ろしてと叫ぶ前に、男が後ろに手を伸ばし、黒いハンカチを差し出した。

「焦らなくていい」驚くほど優しい声だった。「まずは気持ち...

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