第175話火遊びしてる

ライラ視点

私は意識して何気なさを装い、何事もないかのように振る舞いながら、ゆっくりとシャンパンを一口含んだ。そしてグラス越しに、入り口へと視線を走らせる。

イーサン・パチェコは、ただそこにいるだけで会場の空気を支配していた。全身から権力と威厳、そして圧倒的な男の色気が立ち上っている。ジェルで撫でつけた黒髪が、彫刻のように整った顔立ちを露わにしていた――鋭利な顎のライン、高い頬骨、完璧な形の唇。……いつから無精髭なんて生やすようになったの?

そのうっすらとした髭の影が、彼に荒々しい魅力を与えている。単なるハンサムな男から、息を呑むほどに雄々しい存在へと変貌させていた。

他の女性たちが彼...

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