第33章:また彼を見た

ライラ視点

目を開けようともがくが、周囲は影とぼんやりとした輪郭が混ざり合っているだけだった。霧のかかったような脳裏に、規則的な電子音がようやく届く。頭上のきつい蛍光灯の光に、意識が戻るにつれて思わず目を細めた。口の中はカラカラに乾いて綿を詰め込まれたようだし、頭は鈍い痛みでズキズキとして、思考をまとめるのも一苦労だ。間違いなく、ここは病院だ。私は地下鉄の駅で気を失ったのだ。

ありったけの力を振り絞って、殺風景な室内を見回した。ベッドの脇には点滴スタンド、淡いブルーのカーテン、部屋の隅には座り心地の悪そうな椅子がある。やがて、ベッドの近くに立って私の携帯電話を手にしている若い女性に焦点が合...

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