第64話頼んで

ライラ視点

彼を見上げると、胸が早鐘のように激しく鳴った。柔らかなランプの光が彼の顔に陰影を落とし、鋭い顎のラインと瞳に宿る激しさを際立たせている。その瞳――見る者を魅了する琥珀混じりの鳶色の瞳は、私を見透かし、防御壁を築く隙さえ与えずに心の鎧を剥ぎ取っていくようだった。

「お仕置き?」ようやく絞り出した私の声は、恥ずかしいほど息切れしていた。「一体何のための? 息抜きに楽しみに出かけたこと? 私を囚人みたいにここに閉じ込めておくのがいけないのよ!」

イーサンはベッドの端に腰を下ろした。あの独特の香りが漂ってくる距離だ。陶酔を誘うサンダルウッドに、彼自身の匂いが混じり合ったその香りは、い...

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