第2章

あの悪夢のような婚約披露宴が終わってからというもの、心安らかに眠れた夜は一日としてない。目を閉じるたびに、リカルドの射抜くような視線と、あの意味深な言葉が脳裏に蘇る。「また会おう」

彼が本気なのはわかっている。私たちの住む世界では、一度家同士の縁談が動き出せば、そう簡単に白紙には戻らないのだ。

だから、私が動かなければならない。

執務室の扉は、想像していたよりもずっと重かった。私は深く息を吸い込み、意を決してそれを押し開くと、デスクの奥に座る父のもとへと歩み寄った。

この三日間、定められた運命から逃れる術をひたすら考え続けてきた。今こそ、実行に移す時だ。

「お父様。ブルックリン区のカジノ事業の管理を、私に任せていただけないでしょうか」

お父様が顔を上げる。その鋭い眼光は即座に私を捉えた。三日前の晩餐会で私が取った態度について、未だに訝しんでいるのが見て取れる。

「ブルックリンだと? あそこは我々のシマの中でも最下位だ」父は書類を置くと、低い声を響かせた。「ビアンカ、あの晩餐会から戻って以来、君の様子がおかしい。一体何があった?」

「ただ、自分の価値を証明すべきだと思ったのです」私は必死に冷静さを保ちながら、内心では父が首を縦に振ることを祈り続けた。「政略結婚の道具としてではなく、一人の人間として」

ニューヨークから、そしてあの男から離れられるなら、どんな僻地であろうと構わない。

お父様の眉間に皺が寄る。「道具だと? ビアンカ、自分の言っていることがわかっているのか?」

「わかっています」私は震える心臓を抑え込み、父の視線を真っ向から受け止めた。彼から十分に距離を取ることさえできれば、あるいは生き延びられるかもしれないのだ。

「君は、一体何から逃げようとしているんだ?」お父様が立ち上がる。その声には、有無を言わせぬ威圧感が満ちていた。「昨日、リカルドが直々に君のことを尋ねてきたぞ。それがどういう意味を持つか、わかっているな?」

全身の血が、瞬時に凍りついた。

「彼が……ここへ?」

「晩餐会の翌日から、三日連続でな」お父様が私の方へ歩み寄ってくる。「毎回、君の体調をひどく気にかけていたよ。男がそこまで女に関心を寄せる意味、わざわざ説明する必要もあるまい?」

私は指先が白くなるほど拳を握りしめた。気にかけている、だと? あの男が他人を思いやるなど、あり得ない。

「私は商品ではありません。取引の道具にされるのは御免です」

私が言い終わるか終わらないかのうちに、お父様の掌がデスクを激しく叩いた。

「我々の世界では、ファミリーの利益が何よりも優先される!」その声は、冬の夜の刃のように冷たく響いた。「よく覚えておくんだな、ビアンカ」

心が沈んでいく。これは忠告ではない――命令なのだと悟った。

夜の帳が下りる。モントリオール・レストランの個室は照明が落とされ、人々の顔の輪郭を曖昧に浮かび上がらせている。

ファミリーの会合が開かれる長いテーブルの席につき、私は皿の上のステーキを機械的に切り分けていた。この場を避けたかったが、お父様の命令を拒むことは許されない。

「コルレオーネー家の令嬢」

その声を聞いた瞬間、冷水を浴びせられたかのように私の手は止まった。

リカルドが私の隣の席に腰を下ろす。完璧に仕立てられた黒のスーツを纏い、薄暗い部屋の中で、その瞳だけが危険な光を宿している。

この三日間で、彼は間違いなく調査と推測を重ねてきたのだろう。あの瞳の中にあった探るような色は、今や確信へと変わっていた。

「随分と……私のことを怖がっているようだね?」彼はゆっくりと手袋を外し、ほっそりとした指で薬指の黒い指輪を愛撫した。「実に興味深い」

私は表面上の平静を保とうと必死だった。「ただ、勝手にお膳立てされるのが気に入らないだけよ」

「お膳立て、か」リカルドは私にしか聞こえないほどの低い声で、くつくつと笑った。「ならば……始末されるのは、もっと気に入らないだろうな」

呼吸が荒くなる。「どういう……意味?」

リカルドがわずかに身を乗り出し、私の耳元に顔を寄せた。あの馴染みのある冷たい気配に、全身が硬直する。

「どんな借金であっても、必ず返済されなければならない」それはまるで、地獄からの囁きのようだった。「そう思わないか、ビアンカ?」

手の中にあるワイングラスが、かすかに震えている。彼のあの眼差し……前世の最後の夜と、まったく同じだ。冷たく、残酷で、一欠片の慈悲もない。彼もまた、時を遡ってきたのだ。

「何のことだか……わかりませんわ」

私は声の震えを悟られまいと必死だった。

リカルドは背筋を伸ばし、唇に意味深な笑みを浮かべた。彼はグラスを掲げ、私のグラスの縁に軽く触れる。

「構わないさ。時間はたっぷりある」

チーン、という硬質な音が個室に響いた。

「ゆっくりと借りを返してもらう機会は……いくらでもあるからな」

その後の会合の間、私は生きた心地がしなかった。リカルドの視線が肌を掠めるたび、身震いを禁じ得ない。

ようやく会合が終わる。私は機械的に別れの挨拶を済ませたが、心臓は氷漬けになったかのように冷え切っていた。

遊歩道に出ると、私はわざと歩調を緩め、他の者たちを先に行かせた。夜風が頬を撫でるが、感じるのは骨まで凍るような寒気だけだ。

「逃げても無駄だ。そうだろう?」

背後から聞こえた聞き覚えのある声に、私は振り返る。街灯に寄りかかったリカルドがそこにいた。その瞳は灯りに照らされ、ひときわ不気味に輝いている。

「私の後をつけてきたの?」

「つけてきた、だと?」

彼はゆっくりと近づいてくる。その一歩一歩は、まるで死神の足音のようだ。

「ただ、ある面白い仮説を確かめたくてね」

私は一歩後退する。「仮説って、何のこと?」

リカルドは私の三歩手前で足を止めた。鷹のように鋭い視線が私を射抜く。

「君が俺を恐れているのは、俺の悪名のせいじゃない」彼は再び指輪を撫でた。「君が……『何か』を覚えているからだ」

その場の空気が凝固した。

「何の話をしているのか、わからないわ」必死に冷静さを装うが、声の震えは隠せない。

「あの書斎での夜を、覚えているか?」リカルドが一歩踏み出す。押し殺したような低い声。「突きつけられた銃口の温度を――今でも感じることができるか?」

私の顔からは、瞬時に血の気が引いた。

「あなた……頭がおかしいわ」

「おかしい、か」リカルドは喉の奥で笑った。残酷な愉悦を含んだ響きだ。「そうかもしれない。だが、狂人にしか見えない真実というものもある」

不意に彼の手が伸び、指先が私のこめかみを優しく撫でた。

「ここだ。弾丸が貫いた場所。……痛むか?」

指先の生温かい感触が、あの夜の冷たい銃口の記憶と重なる。彼は正確な位置さえも記憶しているのだ。

「あの銃声を覚えているか? とても乾いた、いい音だっただろう?」

羽毛のように軽やかで、けれど鉛のように重い声。

私は乱暴に彼の手を振り払った。心臓が早鐘を打ち、口から飛び出しそうだ。

「一体、何が望みなの?」

リカルドは手を引っ込めると、優雅で落ち着き払った動作でカフスボタンを直した。

「望み?」彼が顔を上げる。その瞳には狩人の光が揺らめいていた。「俺が欲しいものは、いつだって単純明快だ」

「何よ」

彼は私の耳元に顔を寄せ、毒蛇が鎌首をもたげるように低く囁いた。

「復讐だよ」

言い捨てると、彼は背を向けて歩き出した。その黒いシルエットはすぐに夜の闇へと溶けていく。街灯の下、私は一人取り残され、全身の震えが止まらなかった。

ついに、最も恐ろしい事実を確信してしまった――彼もまた時を遡り、前世の記憶と憎しみのすべてを抱えて戻ってきたのだ。

そして今回、私は完全に無防備だ。

だが、少なくとも……彼はまだ、私が記憶を持っていることまでは確信していない。それだけが、私の唯一の優位性だ。

夜風がいっそう厳しく吹き付ける。私は自身の肩を強く抱いた。

逃げること……それは本当に有効なのだろうか? 前世でも私は逃げようとし、結局はあの書斎で死を迎えた。

今回こそは、やり方を変える必要があるのかもしれない。

「逃げられないのなら、いっそ……」

リカルドが消えた闇の方角を見つめる私の瞳に、一瞬、危険な光が宿った。

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