チャプター 12

シダーの視点

リドリーが部屋を出ていくと、私は肩にかけられた彼の高価なスーツのジャケットの袖をそっと引いた。そのジャケットが守ってくれていることに感謝しつつも、そのあからさまな高級感に居心地の悪さを感じていた。この生地だけで、私の持っている服を全部合わせたよりも高いだろう。

突然、廊下から慌ただしい足音がいくつも聞こえてきた。警備員だろうか? ブラッド・ウィルソンとの一件があった後では、もうどうでもよかった。体はまだ微かに震えていたけれど、スターリングさんが割って入ってくれたおかげで最悪の事態は免れたのだ。その記憶が蘇り、胃が締め付けられるようだった。

どうにか体を支え、ゆっくりとエレベ...

ログインして続きを読む