第170章

リドリー視点

朝の光が病室のブラインドから差し込み、殺風景な部屋に長い影を落としていた。目を開けると、あらゆるものに染みついているような消毒液の匂いをすぐに感じ取った。こんな状況にもかかわらず、俺の唇には小さな笑みが浮かんだ。シーダーが昨夜、何時間もかけて優しく説得した末、ようやく子供たちを家に連れて帰ることに同意してくれたのだ。子供たちに必要なのは、この部屋が提供するような寝心地の悪い簡易ベッドではなく、ちゃんとした休息だった。彼女からは先ほど、朝食後にこちらへ来るとのメッセージが届いていた――その一文が、認めたくはないが、俺の心を温めた。

看護師がいつもの検診を終えたちょうどその時...

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