チャプター 29

シダー視点

扉の向こうは、中央に美しいダイニングテーブルが置かれたスタイリッシュなラウンジだった。白檀と高価な革の香りが漂う――明らかに役員専用のダイニングエリアだ。けれど、今の私の状況では、そんな贅沢な内装を味わっている余裕はほとんどなかった。

明るい照明のバスルームでは、LEDライトの下でシミはさらにひどく見えた。私は頑固なコーヒーのシミをなんとかしようと、ブラウスのボタンをいくつか外し、下着がのぞくのも構わず処置にあたっていた。

「初日から最高じゃない……」私はそう悪態をつきながら、しつこいシミを必死で擦った。

ブラウスを救うことに完全に集中していたせいで、バスルームのドアが不意...

ログインして続きを読む