チャプター 39

シダー視点

興奮で顔を赤らめながらセリーナが去っていくのを、私は見送った。彼女はそもそも何のためにネスト・デザイン社に来たのかすっかり忘れてしまったようで、リドリーとのロマンチックな未来を夢見て有頂天になっている。

ようやく彼女の姿が角の向こうに消えたとき、私はほとんど気づかれないほどの安堵のため息を漏らした。

リドリーを見上げると、複雑な感情が顔をよぎる。「助けていただいて、ありがとうございます、スターリングさん」

私の記憶が正しければ、彼が家族の策略から私を救い出してくれたのは、これで三度目だ。

「感謝の言葉だけか?」頭上から響いた彼の低い声が、私が感じていた感謝の念を瞬時に霧散...

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