チャプター 57

シダー視点

リドリーのオフィスの冷房は強烈だった。中に足を踏み入れた瞬間、腕に鳥肌が立つ。彼のデスクから三十フィート――約九メートルは離れた場所に立った。あまり近づきたくなかったからだ。

「スターリングさん」と、私はそっと呼びかけた。

リドリーはモンブランのペンから手を離し、顔を上げた。その射抜くような視線が、私のラフな服装――ダークジーンズにシンプルなクリーム色のブラウス――を捉える。それは普段のプロフェッショナルな装いとはあまりに対照的だった。まるで、仕立ての良いブレザーや構築的なドレスといった私の鎧を剥ぎ取られ、無防備に晒されているような気分だった。

彼の唇が固く一文字に結ばれる...

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