チャプター 64

アルバート視点

「アルバート、もう一度言いますけど、私とスターリング様の間には何もないんです! 私たちは、本当に、全く何の関係もありませんから!」

シダーは歯ぎしりでもしそうな勢いで言い張った。

私は笑みをこらえるのがやっとだった。彼女が不満を漏らす相手が、噂を広めかねない誰かではなく、この私で良かった。もしこの会話が他の従業員にでも漏れようものなら、彼女の評判は二度と元には戻らないだろう。

「もちろんです、ライトさん。私の勘違いでした。二度とこの話は口にしないと約束します」私は恭しく頷きながら、彼女の抗議を頭の中のファイルにそっとしまい込んだ。

スターリング様の専属秘書を七年間...

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