第11章

「この変態、触らないで!」

彼女は自分でも分からない力が湧いてきて、突然男を押しのけた。

暗闇の中で「ドン」という音が響き、男が何かにぶつかったようだった。

白石沙耶はもはや彼のことなど気にも留めず、飛び上がって、まるで兎のように逃げ出した。

その衝撃は軽くなく、南條修司は一瞬めまいを覚えながら我に返った。

外のボディーガードは突然走り出た女性を目にして驚き、慌てて駆け寄って状況を確認しようとした。

南條修司は服に付いた埃を払いながら「問題ない。撮影現場に戻る」と言った

どこの恐れを知らない女が自分を押しのける勇気があったのか、確かめてやろうと思った。

白石沙耶が走り出たとこ...

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