第20章

夜七時、ファミレスにて。

達也はゆっくりとフォークで皿の料理をつついていた。今日の午後の広告撮影のことをママに打ち明けるべきか迷っていた。

優子おばさんは、ママに内緒にするのは善意だと言い、仕事はママの負担を減らすためだと言ったけれど、達也の心には後ろめたさが残っていた。

ママへの嘘は、どんな形であれ、間違っているとずっと感じていた。

一方、千夏はそんなことは気にせず、頬張るように食べていた。小さな口の周りは油っぽく、目が他の料理を見つめている。

「白石千夏、女の子なんだから、もう少し行儀よく食べなさい!」白石沙耶は眉をひそめた。

千夏は慌てて口の周りを拭き、足を揃えて姿勢を正し...

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