第28章

南條グループ本社最上階、社長室。

マホガニー材の机の上には二十本以上の高級ブランド香水が並べられていた。ほとんどが限定品で、十数万円から数十万円もする代物だ。

机の後ろに座る端正な顔立ちの男が眉を軽くしかめ、直立不動の木村智也に尋ねた。

「これで全部か?」

「はい、南條社長。世界の有名ブランドはすべて当たってみました。橙花の香りはこれだけです。本当にもうございません」木村智也は慌てて答えた。

南條修司は軽く首を振った。

これらはすべて違う。強すぎるか、薄すぎるか。あの絶妙な甘い香りとは程遠い。

ボスが首を振るのを見て、木村智也は泣きそうなほどプレッシャーを感じていた。

一体何...

ログインして続きを読む