第29章

南條修司は長い指を伸ばし、木下明美が抱いている子供を指さし、そして古い写真の子供を指した。

その後木村智也に視線を向けた。

木村智也はボスの意図を察し、「似ているだけです。同一人物ではありません。古い写真の方はあなたで、明美さんが抱いているのは別人です」

言い終わって、木村智也は自分の言葉が何か違和感があり、さらにボスの機嫌を損ねる危険性があると感じた。

急いで付け加えた。

「つまり、明美さんの写真の子供は合成ではなく、本当に似た子供がいるということです。だからこそ、報告せずにはいられませんでした」

南條修司は両手を組み、指を絡ませて胸の前に置いた。これは彼が考え事をする時の癖だ...

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