第36章

翌日も撮影が続いた。

木下明美は監督に、皆がもっと真剣に撮影に取り組むために、撮影中は全員の携帯電話を回収し、私用の電話を一切受けないように提案した。

木下明美の提案を監督は当然受け入れ、全ての俳優の携帯電話は電源を切られた。

白石沙耶が電話に出られないことを確認した後、木下明美は洗面所に行き、別の携帯電話で原田勇に電話をかけた。

一方、森川優子の家では、千夏が単語を覚え終わり、アニメを見ようとしていた時、突然インターホンが鳴った。

「ママ!」

千夏は嬉しそうに叫び、ドアを開けに行こうとした。

しかし、達也が彼女を止め、黙るように示した。

千夏もすぐに気づいた。ママは撮影でい...

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