第128章 彼女は必ず自分を強くしなければならない

安藤美咲だって、いくら鈍くても善悪の区別くらいはつく。彼女はふっと笑った。

「もちろん、法律に触れることとか、道徳に反することは別ですけど」

高橋裕也は目を細め、それから意地の悪い笑みを浮かべた。

彼はスープをひと匙すくい、彼女の唇元へ運ぶ。安藤美咲が彼を見ると、漆黒の瞳がじっと彼女を射抜いていた。飲め、という無言の命令。

……仕方なく、彼女は口を開けた。スープを含んだ、その瞬間。

唇を塞がれた。

口の中の甘いスープは奪われ、唇も、舌も、容赦なく絡め取られる。略奪――そんな言葉がぴったりのキス。

抵抗しようとした。けれど、ほんの一瞬の反撃で終わった。あっけなく押し負け、彼の腕の...

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