第158章

独り言を言い終えてから、彼女はようやく、執務机の前に座る男の存在に気づいた。

今日の彼もいつもと変わらない。黒のオーダースーツをきっちり着こなし、堂々たる佇まい。横顔は彫刻みたいに立体的で、やけに目を引く。

視線がこちらへ向いた瞬間、安藤美咲は反射的に目をそらした。

バッグを自分の席へ置き、パソコンを立ち上げる。続いてスケジュール帳を開いて確認し、社内システムの記録も見比べた。内容は一致している。

最近の高橋社長は本当に忙しい。会議、昼の会食、夜の会食……予定がびっしりだ。来週土曜の婚約に向けて、追い込みで残業でもするつもりなのだろう。

高橋裕也は、あの子が入ってきてからも、ずっと...

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