第162章

安藤美咲はその言葉を聞いて、少し嬉しくはなった。けれど、まだ手に入ったわけじゃない。ただの空想だ。

「何が嬉しいんですか。私の好きなものがあるかどうかも分からないのに」

高橋裕也はそれを聞いて、わずかに目を見開いた。瞳の奥を、淡い笑みがすっと横切る。

「安藤秘書。競売に出る品は安くないぞ。金じゃ、お前の機嫌ひとつ取れないってことか?」

安藤美咲は、金で幸せになれると思っている。けれど――必ずしも、そうとも限らない。

「こ、こほん……私、貧乏ですけど、お金があれば必ず幸せってわけでもないですから!」

彼女の幸せは、三人の子どもたちが幸せでいること。そう、それだけでいい。

今の彼女...

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