第164章

鈴木奈央が歩み寄ってきて、冷えた声で言った。

「澤、もうすぐオークションが始まるわ。席に行くわよ」

鈴木奈央は今日は淡いグリーンのチャイナドレスに、白いミンクのコートを羽織っている。メイクも隙なく整え、手にはレトロなクラッチバッグ。

安藤美咲は小さくうなずいた。

「鈴木奈央さん」

鈴木奈央も冷たくうなずくと、そのまま鈴木澤の腕を取って連れて行こうとした。

鈴木澤が不機嫌そうに声を上げる。

「母さん、いま美咲ちゃんと話してるんだよ! 先に行ってて」

久しぶりに会えた。最近はどういうわけか、会いに行ってもいつも彼女はいない。まるで、わざと避けられているみたいで。今日はせっかく出く...

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