第173章

そう言いかけたところで、安藤美咲はふっと固まった。

「ぺっぺっ……私、なんであんたにこんなこと話してんの?」

妙だ。タコみたいに絡みつかれている男の身体が、わずかに強張る。

指先の熱をもう感じてしまったのか、喉仏が上下に動き、低い声が漏れた。

「安藤美咲。聞いてる。お前、高橋裕也のことが好きなのか」

安藤美咲は突然、彼の肩をぱんぱんと叩いたかと思うと、そのまま身体をするりと滑らせて離れた。前へふらついた拍子にベッドにぶつかり、そのまま倒れ込む。

気持ちよさそうに、ころんと一回転。

「好きじゃない。あいつ、安藤花子と結婚するんでしょ。そんなの、好きになるわけないじゃん」

両腕で...

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