第203章

高橋裕也は彼女を白い目で見て、「いらない」とだけ言った。

それからその一式を手に、自分の寝室へ引き返す。

吉田良一は玄関口に立ったまま、長い脚で客室へ入っていく背中を見送り、さらに自室へ戻っていくのを黙って見ていた。

やがて出てきた高橋裕也は、黒の礼服に白いシャツ、黒のジャケット姿になっていた。さらにその上から、安藤美咲が編んだ生成りのセーターまで着ている。

吉田良一が近づく。

「高橋社長、安藤家の方々はもうお揃いです」

――このまま向かったら、礼儀知らずだと言われるに決まっている。

だが、その先は口にできず、喉の奥へ押し込んだ。

高橋裕也は返事もせず、歩き出して階段を下りて...

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