第69章 彼が死ぬのが怖い

安藤美咲は目を見張った。彼がぐいと押さえつけたせいで、彼女の手はそのまま彼の上に――しかも、その……。

 危うく悲鳴を上げるところだった。引っ込めようとするのに、その男は離してくれない。

 安藤美咲は焦った。力いっぱい手を引く。けれど、力ではどうしたって敵わない。

 唇をきゅっと噛む。瞳にはうっすら涙の膜が張り、頬はどうしようもないほど真っ赤で、火がついたみたいに熱かった。

 彼女が引き、彼が力を込める。そのせめぎ合いが何度も続くうち、そこに変化が生まれる。

 安藤美咲にも、それがはっきりわかってしまった。もう、慌てるしかない。

 どうしよう。どうしよう……。

 長いまつげが小...

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