第85章 私のこと考えた?

車はゆっくりと高橋家を離れていく。安藤美咲は車窓の向こうに広がる広大な邸宅を見つめ、初めて足を踏み入れた高橋家の桁外れの豪奢さに、あらためて息をのんだ。

本来、彼女自身も名家のお嬢様として育っている。贅沢なものなど見慣れている――はずだった。

けれど高橋家の本邸の敷地の広さ、建物の迫力は、安藤家とは比べものにならない。

外へ視線を向けると、花壇には花が咲き誇っていた。冬だというのに瑞々しい花々。ひと目でわかる、高橋おばあさんの趣味だ。

安藤美咲は目を細めて、ふっと笑う。高橋おばあちゃんは本当にロマンチストで、暮らしを楽しむのが上手い。

高橋裕也はシートに深くもたれ、長い指で肘掛けを...

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