第87章 娘が病気になった

テーブルについていた中年の男が二人、そろって立ち上がり、彼のほうへ歩み寄ってきた。

「高橋社長、いやあ偶然ですね。よろしければご一緒に」

鈴木澤は手ぶらになったまま、深い目で、高橋裕也の腕の中に収まっている女を見た。胸の奥がざらつく。奪い返したい衝動が、喉元までせり上がる。

だが鈴木奈央が彼の腕をぎゅっとつかみ、小声で釘を刺した。

「澤、李お嬢様もいらっしゃるのよ。恥をかかせないで。子どもを産んだ女なんて、あなたには釣り合わないわ」

鈴木澤の父である鈴木昌仁と、海田柚木の父・海田拡が前へ出た。

二人とも高橋裕也と握手を交わし、名刺を差し出す。

高橋裕也は片腕で安藤美咲を抱き寄せ...

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