第89章 母親になるのは容易ではない

「それに、何人もの先生が絵里を診てくださって……対応もすごく丁寧でした。検査の用紙も私たちが走り回らなくてよくて、絵里はここで寝たまま検査できたんです。本当に助かりました」

安藤美咲は絵里の頭をそっと撫でた。少し熱はあるが、心配になるほどではない。

佐藤さんの話を聞いて、ようやく事情が飲み込めた。

こんな病室、普通の人間が簡単に押さえられるはずがない。まして自分にそんな金はないし、絵里にこんな上等な部屋を使わせるなんて、もったいなくてできるわけがない。

安藤美咲は佐藤さんに言った。

「佐藤さん、勇と光を先に連れて帰ってください。もう遅いですし、休ませないと」

そう言って振り向くと...

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