第96章 彼女を出て行かせろ

社長室の中から、泣きわめく声が聞こえた。

総秘書の田中明美が扉を押し開けると、床に座り込んだ女がいた。髪はぐしゃぐしゃ、顔は涙でぐちゃぐちゃで、心底つらそうに泣いている。

田中はわずかに息をのむと、慌てて駆け寄った。

「安藤さん、大丈夫ですか。まずは立ちましょう」

支えてソファへ座らせると、安藤花子は腰に手を当て、うめき声を上げた。

「腰が……それに、私の髪……安藤秘書、どうして私を殴るんですか」

そう言って、くぐもった声でえんえんとすすり、涙をぬぐう。その様子は、いかにも「かわいそうな被害者」そのものだった。

田中明美は、高橋社長が誰を大事にしているのか知っている。下手なこと...

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