第5章

 ジュリアンの胸に寄りかかっても、高鳴る鼓動はまだ鎮まらない。黒いシルクのドレスは汗と葡萄の汁で濡れそぼり、まるで第二の皮膚のように私の身体に張り付いていた。

 ジュリアンの指先が、頬に貼り付いた濡れ髪を優しく払う。夕闇に沈む緑色の瞳には、優しさと、それ以上に危険な光が宿っていた。

「ほら、見ろよ」

 彼は低い声で囁き、遠くへ落ちていく夕陽を指差した。

「太陽が沈んで、残った色こそが真実だ。君と同じだよ、マリア。あのクソ野郎に着せられた仮面を脱ぎ捨てた君は、このシャトーのどんな眺めよりも唆る」

「こんなに……気持ちいいなんて、初めて」

 私は顎を上げ、傷跡だらけの乳房を夕陽に晒し...

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