第9章

高橋が見ると、加藤龍平の顔立ちは悪くないが、肌が少し黒かった。

がっしりした体格ではあるが、見た目はあまりにも野暮ったい。

安物の服を全身に纏い、まるで田舎で煉瓦窯で働いているか、建設現場で鉄筋を運んでいるような風体だ。

最も腹立たしいのは、自分がこれだけの兄弟たちを連れて横柄に歩いてきたのに、あいつはまだ座ったままでいることだ。

頭が弱いならまだしも、明らかに馬鹿げた態度で、俺を眼中に入れていないじゃないか!

「田舎者」高橋は尋ねた。「ここがどこか分かってるのか?」

加藤龍平は黙ったままだった。

「俺が誰か知ってるのか?」高橋がもう一度尋ねた。

加藤龍平はやはり何も言わなか...

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