第5章
心臓が止まるかと思った。
「彼を知ってるって、どういうことですか?」
「彼がどういう人間か知っているんです。お会いする必要があります。大事な話です」
「どうしてあなたを信用できると?」
間があった。
「……あなたの『状態』についてのニュースレポートを見ましたから。そして、彼がまた同じゲームを始めようとしていることも知っています」
この人は知っている。どういうわけか、高橋有希は藤井景が何をしているのかを把握しているのだ。
「場所は?」と私は尋ねた。
「明日、午後二時。B市図書館、二階の貴重書庫。一人で来てください」
「待って――」
通話は切れた。
中島佑衣が目を...
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