1。彼女を終わらせろ

カテタリダ

『父君の玉座を継ぐには、伴侶が必要だ。そなたは彼と結婚せねばならぬ。さすれば、我らはそなたを群れのルナとして戴冠させよう』

アリアナの瞼が震え、開かれた。長老の言葉が脳裏に響く。鏡に映る自分の姿を見つめる。メイクアップアーティストの施した化粧は完璧だった。今まで見た中で最も美しい白いドレスに身を包んだアリアナは、こみ上げてくる緊張の波を抑えきれなかった。

今日は、彼女の結婚式の日だった。

二年前に両親が亡くなり、彼女と群れは打ちひしがれた。男の世継ぎがおらず、長女であるアリアナが群れを率いる者に選ばれた。だが、戴冠するには結婚しなければならなかった。それが群れを強化すると、皆が信じていたからだ。

去年、彼女が二十歳の誕生日を迎えた満月の夜、舞踏会が催された。それは、狼たちが運命の伴侶と出会うための盛大な儀式だった。アリアナは隅の方で緊張しながら立ち、繰り広げられる光景を眺めていたのを覚えている。

その時、不意に、ある香りを捉えた――力強く、陶然とさせ、抗いがたいほど圧倒的な香りを。

その香りに、彼女は完全に心を溶かされ、夢中で辺りを探し回った。振り返った瞬間、彼の視線と絡み合った。

彼は背が高く端正な顔立ちで、その微笑みに彼女の心臓は高鳴った。彼が近づいてくると、アリアナは畏敬の念に唇をわずかに開き、内にいる狼は満足げに喉を鳴らした。

彼は彼女の手の甲にキスをし、あの力強い一言を囁いた。

「メイト」

彼の名はカエル・ファングトン。父が最も信頼し、戦で命を落とした部下の一人、ダイラスの息子だった。ダイラスは忠誠心と戦闘技術で知られており、カエルもその資質を受け継いでいるようだった。

アリアナはカエルについて徹底的に調べ、長老たちでさえ、彼が彼女の傍らで共に統治するという考えを支持していた。

二人の愛は育まれ、心は繋がり、残すは結婚のみとなった。

深く息を吸い込むと、彼女の唇に笑みが浮かんだ。カエルの正式な花嫁になるのが待ちきれなかった。彼はアルファの配偶者となり、すべてが然るべき場所に収まるのだ。

「アリア!」小さな声がホールに響いた。アリアナが振り返ると、妹のライラが心配そうな顔で駆け寄ってくるところだった。

「本当に彼と結婚するの?」ライラは鋭い口調で尋ねた。その顔には不満が浮かんでいる。

アリアナはため息をついた。「またその話、ライラ。カエルはいい人よ、それに私は彼を愛して――」

「あなたの気持ちの話をしてるんじゃない。長老たちの言いなりになってるって話よ。あの人たちが嘘つきなのは、あなたも知ってるでしょ。カエルと知り合ってまだ一年も経ってないのに、そんなに急ぐ必要は……」

十七歳のライラは、頭が切れ、頑固だった。彼女はずっとカエルを嫌っており、アリアナが玉座を継ぐ前に結婚すべきだという長老たちの主張を憎んでいた。

「長老たちが狡猾なのは分かってる。でも、月の女神様がカエルを私の伴侶として選んだのには理由があるの。彼は私の隣で統治するのよ」アリアナはきっぱりと答え、議論の余地を与えなかった。ため息をつき、彼女は身をかがめてライラの肩に手を置くと、声を和らげた。「心配なのは分かるわ。物事が早く進みすぎているのも。でも、支配者の地位を長く空位にはできない。私を信じて」

ライラはついに頷いた。

微笑みを浮かべると、アリアナは妹のそばを通り過ぎ、皆が待つ指定のホールへと向かった。

「アリアナ・グレイストーン嬢、あなたはカエルを伴侶とし夫として受け入れ、月の光が照らす限り、レイヴンウッドの群れを導く者として彼の傍らに立ち、守り、慈しむことを誓いますか?」と長老は尋ねた。

アリアナは緊張で喉のつかえを飲み込んだが、カエルの指が優しく彼女の手の甲を撫でるのを感じて、微笑んだ。心臓がはためく。

「はい、誓います」と、彼女はかろうじて聞き取れるほどの声で囁いた。

長老はカエルに向き直った。「カエル、あなたはアリアナを伴侶とし妻として受け入れ、月の光が照らす限り、レイヴンウッドの群れを導く彼女の傍らに立ち、守り、慈しむことを誓いますか?」

カエルの返事は、迅速で、揺るぎなかった。「はい、誓います」

ライラは抗議の念を込めてその様子を見つめていた。

「月の光と、群れの意志により、そなたたちは今、伴侶として、そして指導者として結ばれた。二人の絆が強固なものであらんことを。そして、その統治が我らに繁栄をもたらさんことを」ローワン長老は厳かに告げた。

ホールはカエルがアリアナの唇を奪い、二人の結合の証である優しい口づけを交わすと、歓声と雄叫びに包まれた。

***

その夜遅く、カエルはアリアナに最後の一突きをくれてやった。二人の体は汗でぬめり、閨の香りが空気に満ちていた。

彼が身を離すと、アリアナは冷たい空気が肌を打つのを感じ、カエルが立ち上がって服を着始めるのを見ながら、羽布団を体に引き寄せた。

「印を、刻んでくれなかったのね」アリアナはナイトガウンに身を滑り込ませながら囁いた。カエルは彼女の方を振り返ったが、その表情は読み取れなかった。

「その必要があるのか?」彼の声は冷たく、よそよそしかった。アリアナは彼の態度の急変に戸惑い、眉をひそめた。

「どういう意味? あなたは私の夫で、私はこの身を捧げたのよ」

カエルは暗く笑った。その声はアリアナの背筋を凍らせた。

「何なの、今の……?」彼女の視線に混乱が渦巻く。

「まだ分からないのか、アリアナ? お前ほど純真なやつには会ったことがない」彼は肩越しにちらりと目をやり、その瞳には不吉な光が宿っていた。「騙すのは簡単だった。よくよく考えれば、月の女神が俺たちを結びつけたことで、もっと簡単になったわけだがな」

アリアナの心は沈んだ。彼の言葉が短剣のように深く突き刺さる。口を半開きにしたまま、一言も発することができなかった。

何を言っているの? 何かの冗談?

彼の声が、混乱する彼女の思考を遮って続いた。

「俺の父ダイラスは、お前の父アルファ・セインと共に長年戦った。それなのに、裏切られた。俺は、お前の父が俺の父を、犯してもいない罪で斬首するところにいたんだ。森の中から、心を張り裂かれんばかりに泣きながら見ていた」アリアナは、彼の拳が体の横で固く握られているのに気づいた。「その後、アルファ・セインは群れに戻り、俺の父は戦死したと嘘をついた」

「何の話をしてるの?」アリアナは呟いた。彼女の父が彼の父を殺したとは、どういうことなのか。

カエルの唇が、残酷な笑みに歪んだ。「お前の父親がどんな男だったか、よく分かっているはずだ、アリアナ。どれほど獣じみていたか、思い出させてやろうか?」

「父は獣なんかじゃないわ。父を悪く言うのはやめて!」アリアナはカッと叫び、その目を燃え上がらせた。

彼女の父は厳格な支配者だったが、民を愛していた。カエルが言っていることはすべて嘘のように感じられた。

「カエル?」彼女が呼びかけても、彼は黙ったまま、彼女を不安にさせるような表情で虚空を見つめていた。

「この群れに必要なのは真の指導者だ、アリアナ。そして、それはお前じゃない」

彼女が反応する前に、屈強な二人の衛兵が部屋に入ってきた。アリアナはベッドから転がり落ち、カエルが何を企んでいるのか分からず、心臓が激しく脈打った。

「あなた、何を……?」彼女の声は途切れた。カエルが彼女の体をくるりと回し、その腹の奥深くまで短剣を突き立てたからだ。彼の目は冷酷で、無慈悲だった。

アリアナの唇から血がこぼれ、痛みに喘ぐと、視界が涙でぼやけた。これは彼女が恋に落ちたカエルではない。見知らぬ誰か。怪物だ。

「俺、ダイラスが息子カエルは、セインが娘アリアナ、お前を俺の番として拒絶する」彼は囁き、アリアナの内にいる狼が苦悶の遠吠えをあげた。心が引き裂かれるようだった。

「受け入れろ」彼は唸った。その声には慈悲の欠片もなかった。

いや。痛みが耐え難い。

アリアナはかぶりを振った。涙が頬を伝って流れ落ちる。カエルが短剣をさらに深く肉にねじ込むと、彼女は叫び声をあげ、無意識に彼自身の腕を掴んだ。床には彼女の血だまりが広がり、鉄錆の匂いが空気に満ちた。

「受け入れろ!」彼は吼えた。その目は憎悪と嫌悪に満ちていた。

「わ、私は……あなたの拒絶を、受け入れます」彼女は喘ぎながら言った。その言葉は彼女の魂を引き裂いた。痛みは耐え難く、まるで千本のナイフで心を突き刺されるようだった。

カエルは短剣を引き抜き、皮膚が裂ける不快な音が響き渡り、事態をさらに悪化させた。

アリアナは床に崩れ落ち、体は震えていた。血だまりが床に広がり、ナイトドレスを濡らし、呼吸は途切れ途切れになった。

短剣にはトリカブトの毒が塗られており、彼女の治癒を妨げていた。

彼女の狼は痛みに遠吠え、拒絶の残酷さに耐えきれず、冬眠へと退いていった。

「分かってくれるといいがな、アリアナ。選択肢はなかった。群れにはもっとましな支配者が必要なんだ」カエルは冷たく呟き、衛兵たちの方を向いた。「始末して、死体は燃やせ」

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