109。悪党指導者

「お誕生日おめでとう、ライラ・グレイストーン」

これまで多くのメイドたちや、ろくに口も利いたことのない戦士たちからも同じ言葉をかけられた。からかってくるブリジッドからも。けれど、まさか自分がこの場にいて、王様ご本人からお祝いの言葉をいただくことになるなんて、ライラは夢にも思っていなかった。

それだけではない。王は彼女が同じ食卓で食事を共にすることをお許しになったのだ。

あと一息で歓声を上げてしまうところだった。

心臓が何度か鳴るほどの時間が過ぎ、彼女はようやく我に返った。

立ち上がると、頭が膝に触れんばかりに深くお辞儀をする。「ありがとうございます、陛下!」

アリアナは...

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