117。忘れさせて

ここ四日間、ライラは兵舎で存在感を消していた。

ただ黙々と仕事をこなし、自室へ戻るだけの日々。今のところ、彼から呼び出しはない。まだ怒っているのだろうか?

当然だろう。あの夜、彼女は無謀な行動をとり、もう少しで命を落とすところだったのだ。彼が怒るのも無理はない。もう訓練はしてもらえないかもしれないし、二度と口をきいてもらえないかもしれない。

まず、自分の狼を授からなかった。そして今、ベータのルーカスにまで呆れられている。それだけではない。ブリジットと喧嘩までしてしまった。

ドアをノックする音が響いた。

「ルーカス様が中庭へとお呼びです」

ライラが中庭へ向かうと、ルーカスが腕を組ん...

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