119。彼の魅力

ダンカンの執務室

「闇市場は閉鎖されつつあり、最高監督官はただいま我々の管理下にございます、陛下」フレドリック卿は、樫の机の向こうで仕事に没頭する、フードを目深にかぶった粗野な男に報告した。

眉間に皺が寄り、それでいて威厳に満ちた佇まいは崩れない。

「奴らの管理下にあった奴隷たちはどうなった? 身元はきちんと調査したのか? 死亡したと偽の申告がされている者たちは、即刻解放せよ。奴らの働き手は、相応の罰を受けさせろ。そのようなことは一切許可しておらん」ダンカンは、権威に満ちた重い声で命じた。

「は、はい、陛下……」フレドリックは口ごもり、神経質に身じろぎした。

闇市場が壊滅寸前となり、...

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