144。信頼が失敗するところ

二人のロードは、今にも死を呼ぶ嵐が吹き荒れんばかりに、互いを睨みつけていた。一分ほどの時が流れるまで、どちらも口を開くことはなかった。

ついに、沈黙を破ったのはヴァレロスだった。

「奴らの血を引く女が、我らが未来の王妃になることなどありえん。貴公と王はその事実を知りながら、それを許し――秘密にしてきた」ヴァレロスは片眉を上げて言った。「その事実を知った時、この王国がどう反応するかな? 我々の民の命を奪ったならず者たちの襲撃、その裏にウロボロスがいたことを我々が突き止めたのは、ほんの数週間前のことだ……」

「王の女から……離れろ」ルーカスはそれ以上聞きたくないとでも言うように、一言一言、氷...

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