156。王国か彼女か

ルーカスは展望室でダンカンと会った。王はまず、ベータであるルーカスから事の次第をすべて聞きたがった。そして話を聞き終えると、ダンカンは固く拳を握りしめた。

「彼女の血筋が暴かれることは分かっていた。だが、こんな形になるとはな」ダンカンは呟いた。

済んでしまったことは仕方ない。前に進むための道筋を見つけるだけだ。

「彼らはまだ城塞にいます。すぐに出ていくつもりはないでしょう」

「そうだろうな。しばらくは彼女を嗅ぎまわるだろうが、二度と姿を見ることすらできなくしてやる」ダンカンは呟いた。

最愛の妻は妊娠しているのだ。第一に、ストレスは禁物だ。

「申し訳ありません。止めようとしたのですが...

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