167。彼は私のものです

ヴァロレス卿は顎が外れたかのように、その場に凍り付いていた。手にしたゴブレットは、次の瞬間、彼が我に返らなければ落としていただろう。

ダマリス卿もまた、顔から血の気を失い、同じ表情で固まっていた。

二人の古きライカンは、小さな巻物から読み終えたばかりの伝令使を、大きく目を見開いて見つめていた。まるで、彼が笑い出して、これがタチの悪い冗談だと認めるのを待っているかのようだった。

「確かなのか?」ダマリスがようやく口を開いた。

「はい、閣下――」伝令使の言葉は、ヴァロレスがその手から羊皮紙をひったくったことで遮られた。そこには炙り出しインクで文字が浮かび上がっていた。

それを読み通すと、...

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