173。壊れた思い出

ルカスとその一行が、二つのなだらかな丘の間にひっそりと佇む、半ば忘れ去られた旅人の宿「ブライアーシェイド・ウェイステーション」に腰を落ち着けてから、一時間近くが経っていた。背の高い草とイバラの生垣に囲まれたその場所は、近づいてくる敵を発見するのに十分な視界を確保できる広い野原となっていた。

旅はメアリーナとその侍女を疲弊させていた。彼女たちは短い休息を取り、日の出前に出発する計画だった。そして、計画も必要だった。

「閣下、異常ありません」ファルコンが彼の隣で立ち止まり、言った。「周辺の警戒は二度確認済みです」

ルカスは、遠くでメアリーナが滞在している石造りの小さな住居に目をやった。

「...

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