198。ドラゴンの名前は知っている

ザヴは固唾を呑んだ。

エリスは歯を食いしばった。

これほど早くその時が来るとは、誰一人として予想していなかった。二つの領域の間の戦争が……明日、起ころうとしているのだ。

「敵の軍勢は我々より遥かに大きい。どこかに身を隠すべきでは?」

「駄目だ。見つかる。我々はこの時のために備えてきた」とドラコラは言った。

「女神様、それでは不十分です……」

「戦うのだ」ドラコラは譲らず、エリスは不承不承といった体でため息をついた。「戦士たちを集めよ。戦略を練り直す必要がある」

ザヴは明らかに懸念と懐疑心を抱いていたが、その恐怖を隠して頷いた。「見つけられる限り集めてきます」

彼は馬に跨り、北翼にある小さ...

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