200。オスのオオカミ

人々は慌ただしく武器を手に取った。髪を団子に結い上げ、顔に模様を描く。天への祈りの言葉が囁かれた。

月の女神に本当に祈りが届くのだろうかと、ライラは思った。

そもそも、どんな姿をしているのだろう?

「あなたは月の女神の姉妹だったと聞いたわ」ライラはドラコラに言った。「どんな方なの?」

ライラは短剣をもてあそんでいた。シルラが彼女のために縫った戦闘服は、その引き締まった体に完璧にフィットしていた。ストラップには何本もの短剣が隠されている。

彼女の目に恐怖はなく、むしろ微かな興奮が宿っていた。血を流すのは久しぶりだった。心の奥底では、これが自分たちの終わりではないと分かっていた。

「え...

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