204。イリュージョン

すべてがまだ生々しく、まるで昨日のことのようだった。番の、命のない体。裏切り。血。私を追放しようとする王国の声。戦い。私をずたずたに引き裂いた者たちの顔に浮かぶ、あの嘲笑――すべてが、まだ鮮明に残っていた。

けれど、それだけではなかった。幸せな記憶も。あまりにも速く、けれど何年も続いたと誓えるほど長い、幸せな記憶が。

エリンダーが私を逃がそうとしてくれている最中、背後から撃たれたのを覚えている。あれが私の最期だと思った。特に、エリンダーが空中で最期の息を引き取った時には。

けれど、瞼が落ちたその時、私は恐ろしい内なる竜が待つ虚無の空間へと突き落とされた。

前回、竜に恐怖を覚えた時とは違...

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