212。スピーチ

「いいことじゃない。もっと楽しめるわ。さあ、私たちの運命の人に会いに行きましょう」ニクスが応えた。

「ニクス、あなたって最低」

「だから私のことが好きなんでしょ。言ってごらんなさい、昨夜は楽しくなかったって」

ライラは窓辺へ歩きながら、呆れて目を転がした。

ルーカスの触れた感触が、亡霊のようにまだ肌に残っていた。彼に組み伏せられた記憶が、血管を流れる血を燃え上がらせ、体の芯を疼かせた。

くそっ。あんなにめちゃくちゃにされたのに、まだ求めている。

こんなに中毒性があるなんて。

外の空は明るかった。まだ北棟にいる。よかった。

マントを見つけて羽織ると、外へ向かった。両足...

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